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貧乏なら自炊をすればいいじゃない

春から身内の若い女の子が地方から進学のために上京してきて一人暮らしをするので、このところ部屋探しを手伝ったりしているのですが、首都圏に住んで都内の学校に通学するという状況下で実家からの仕送りがあまり期待できない、ということもあり、今後の生活が心配だなあ、と思っていたところへ、こんなインターネットの記事を読みました。
あなたの隣にもいる「貧困女子のビンボー生活」
わあ、この一枚目の写真とかシンパシー感じるわあ、一人暮らししてた頃、わたしもこんなふうにカーテンレールや鴨居に服をぶらさげまくっていました、服をしまう場所がなかったので……。

わたしが一人暮らしを始めたのは2004年1月、大学四年生の時のことです。実家と宗教問題でモメて、一刻も早く家を出たかったので、12月に卒論を提出した直後に不動産屋で部屋を決め、年明けには引越しを強行したのでした。資金は学生時代にバイトで貯めたお金です。当時は就職氷河期で新卒だけど就職先もなく、派遣社員の仕事を見つけて2月くらいから働き始めました、当時の収入は手取りで月に16〜18万円、派遣なので交通費はありません。23区内の築30年六畳1Kのアパートで家賃が6万円でした。賃貸初心者だったので部屋の探し方がわかっておらず、割高な物件に住んでいたと思います。
当時は料理が全くできなかったので、一人暮らしを始めたら家でご飯だけ炊いてスーパーでお惣菜を買ったり、コンビニ等のお弁当を買えばいいや、と思っていたのですが、実際お金のない身でスーパーの惣菜売り場に行ってみると、調理済みの食品というのは意外と高い、と感じました。食べられればなんでもいいし、自分で料理をしてみるか、と思ってインタスタントラーメンを作ってみたのがわたしの自炊の始まりです。もうちょっとお金を持っていたら料理なんか絶対にしなかったと思います。

自分自身の経験から言って、生活費に回せるお金が少ない人は自炊をしたほうが絶対によいと思います、とはいえ巷には「一人分なら作るより買うほうが安上がりなのよねー」という言説があります。わたしが観測した範囲ではこの言説の提唱者は「お母さん」や「職場のパートさん」等の主婦層です。二人以上の家族の食事を毎日用意している家事従事者からすると、「一人分だけ作るというのは手間だし食材も余るので非効率」と感じるのだと思います。しかし、一人暮らしの人の食事と、複数人で食べるための食事はコンセプトがそもそも全く違うので、同じように捉えてはいけません。上記の貧困女子の記事にも「自炊は高いから滅多にしない」「給料日の前は、三食菓子パンを牛乳で飲み込んでお腹を膨らませる」といった貧困女子の証言がありますが、食費を抑えるというコンセプトで自炊をしていれば一食菓子パン一個と同程度あるいはそれよりも安い金額でご飯を食べることが可能です。というわけで貧困女子のために菓子パンと同じ金額でできる料理を紹介したいと思います(ここで一食分と想定する量は、男性からすると少ないかもしれません。あくまでも自分の経験から女性が腹八分目くらいになるような量を想定しています。尚、ご飯を毎食満腹になるまで食べるのは美容と健康の観点からオススメしません)。

自炊をするためにはいくつかの調理器具が必要です。お金がなくて菓子パンを食べるような女がどのくらい調理器具や家電を所有しているのかよくわかりませんが、最低限あるとよいものを列挙します。

調理器具
・18cmの片手鍋(ラーメン、うどん、味噌汁等を作る時に使用)
・20cm以上の両手鍋(カレー作る時やパスタを茹でる時に使用)
・26cmくらいのフライパン(大小二個あると便利だけど、一個だけなら大きめのもの推奨)
・やかん
・包丁(三徳包丁)
・菜箸
・木べら
・お玉
・ボール
・ざる

鍋やフライパンはスーパーやホームセンターで安いのだと千円以下で売っています。小さい鍋なら100円ショップにもあるけど、耐久性はわかりません。包丁も安いやつでいいと思います。三徳包丁が一本あれば充分です。菜箸以下のものは100円ショップで買うのがよいと思います。

食器
・箸、フォーク、スプーン
・どんぶり
・カレー皿 (カレー以外にも、焼きそばやパスタを食べるのに使用、一個あれば平皿はなくても平気)
・カフェオレボウル (ご飯を食べるのに使える。いかにもご飯茶碗、というのを買うより、カフェオレボウルを二、三個くらい用意しておくと、片方にご飯入れて片方におかずとか、スープとか入れてもおかしくないし、残ったおかずを保存するのも平べったい皿に入れるよりボウルに入れて冷蔵庫に入れたほうが場所を取らない)
・グラス、マグカップ

食器は最低限で済ませるなら和洋中なにに使っても違和感のない、白くてシンプルなやつがオススメです。100円ショップで好きなのを買って下さい。カフェオレボウルは本当に使い勝手がよいです。料理中に調味料混ぜたりするのにも使えるし。

家電
・炊飯器
・電子レンジ
・冷凍庫つきの冷蔵庫

炊飯器も電子レンジも新品で6000円くらいで売っているので、できればあったほうがよいです。ご飯は鍋でも炊くことができますが、その場合はある程度厚みのある鍋でないとうまく炊けないので、炊飯用の土鍋とか、無水鍋とか、鋳物の鍋とかを用意する必要があります。ワンルームの部屋だとコンロが一口だったり、その上ガスコンロではなく電熱コンロやIHクッキングヒーターだったりするので、炊飯でコンロをふさぐよりは炊飯器で炊いたほうが楽です。あとは電子レンジでご飯を炊くためのグッズもあるので炊飯器を用意せずこちらを使うのも手です。

電子レンジ専用炊飯器備長炭入ちびくろちゃん

電子レンジ専用炊飯器備長炭入ちびくろちゃん

また電子レンジはレンジ機能のみのものとオーブンレンジがありますが、オーブン機能なんか絶対使わない、というのであれば単レンジで充分です。ちなみにオーブンレンジでトーストを焼くとすごくまずいので、食パンを焼きたい場合はオーブントースターを別に買うのがオススメです。ガスコンロがあればグリルで焼いたり、フライパンに食パンを置いて加熱して焼く、というのもおいしくできます。
冷蔵庫は、ワンルームだと備え付けのミニ冷蔵庫があったりするのですが、ミニ冷蔵庫だと冷凍ができないので、自炊の習慣がついてきたら冷凍庫つきの冷蔵庫があったほうが便利です。

調味料
・醤油
・塩
・砂糖
・胡椒
・みりん
・料理酒
・油(サラダ油、ごま油、オリーブオイル)
・粉末だし、コンソメブイヨン、中華系だし
・めんつゆ

醤油+みりん+粉末だし+水でめんつゆみたいなものができます。わたしは市販のめんつゆの味が好きでは無いので買わずに調合していますが、問題なければめんつゆを買っておくと大抵の和食の味付けはめんつゆでできるので楽だと思います。パスタをよく作るならオリーブオイルを常備しておくとよいです。

貧困生活における自炊で重要なのは、料理のスキルよりも経済感覚です。貧乏なんだから常に費用対効果を念頭において行動して下さい(食材の金額はネジ家がよく利用する西友ネットスーパー、東急ストアの金額を参考にしました。もっと安売りのスーパーに行けば低価格で手に入ると思います)。

貧乏人が用意しておくべき食材
・キャベツ 1/2玉100円〜(和食洋食中華に使えるオールマイティな食材。
保存時は芯を包丁でくりぬいて濡らしたティッシュを詰め、新聞紙やチラシなどの紙に包んでビニール袋に入れて冷蔵庫へ

・しめじ 1パック98円〜(キノコ類では概ね一番安く、かつ汎用性があります。冷凍保存可能
・玉ねぎ 1個60円 (皮がついた状態で使う分だけ切って、切り口の部分をラップに包んで保存)
・ベーコン、ソーセージ (料理初心者なら生肉を買うよりベーコン等がオススメ、わたしはベーコンを買ったらまず半分に切り、三枚ずつにわけてラップし冷凍します。一食で使うベーコンはこの三枚(正確には一枚半)のみ、と決めています)
・もやし 1袋35円 (もやしは安いけど洋食に合わないという欠点があるのと、意外と量があるので食べきれずダメにしてしまいがち、というのもあります。もやしを日持ちさせるには水を入れたタッパーにもやしを入れ、冷蔵庫に入れておき、毎日水をかえるという方法があります。あとはナムル(レシピ)にしておいてあとで食べるという手もあります)
・玉子 10個180円〜 (玉子の値段は店によってピンキリです。ショップ99とかだと6個で99円くらいで売っています。玉子の賞味期限は生食をするときの期限なので、賞味期限を過ぎても加熱すれば一週間くらいは食べられます。玉子が使い切れそうもないときは半熟に茹で、殻をむいてめんつゆをちょっと薄めたのに漬けておけば味玉になるので5日くらいは保存できます。)
・マーガリン (わたしは「バター仕立てのマーガリン」みたいなやつを常備しておいて、パンに塗ったり料理でバターを使用するレシピの時に使っています。貧乏なんだからトランス脂肪酸とかのことは諦めて下さい)
・米 2kg(=約13合)800円〜 (5kgとかで買ったほうが割安ですが、重くて持ち帰れない、保管場所に困る、等の事情を考え、一人暮らしの頃は2kgずつ買っていました。一食に米をどれくらい食べるかにもよりますが、わたしの場合は一度に2合炊いて四分割していたので一食=0.5合、2kgだと約26食分、一食あたりご飯だけで30円くらいの計算になります)
・スパゲッティ 500g150円 (一人分が100gなので一食30円、安売りの店ならもっと安いのがあると思います。)

食材については鉄板で用意しておくものはこれくらいで、あとは必要に応じて買うのがよいです。

食材とか調味料とかいろいろ書きましたが、そもそも料理を全くしたことがない、という人が最初に作るとよいのはインスタントラーメンと焼きそばとカレーです。なんでかというと、
・自前で調味料を用意する必要がない
・作り方がパッケージに書いてある
・鍋あるいはフライパン一個で作れる(カレーだけは別にご飯を炊く必要があるけど)
からです。わたしも実家にいた頃はカレーしか作ったことがなく、一人暮らしを始めて最初に作ったのはラーメンでした。

・野菜入りインスタントラーメンの作り方(5食300円=1食60円)
鍋にお湯をわかし、野菜(キャベツの葉1〜2枚、モヤシなど)を入れ、乾麺を投入、袋に書いてある分数だけ茹で、付属のスープを入れて完成。玉子やベーコンを入れてもよい。

・野菜入り焼きそばの作り方(3玉130円=1食43円)
フライパンに油をひき、野菜と肉(キャベツの葉1〜2枚、モヤシ、玉ねぎ1/4玉など、肉はベーコンやソーセージでOK)を炒め、麺を入れ、袋に書いてあるとおりに炒め、付属のソースをかけて完成。

ほら!具材込でも1食100円以下でできるじゃねえか!所要時間は、野菜を切る時間を入れてもせいぜい15分ですよ。15分の時間も捻出できないほど多忙で激務という人はそもそも菓子パンレベルまでは貧困でないと思いますので好きなコンビニ弁当を食べて下さいね。
あとカレー、カレーの作り方とかもう箱見て作れ、という感じですが貧乏人にオススメなローコストカレーを紹介します。

・ひき肉カレーの作り方
じゃがいも、にんじん、たまねぎ、等の野菜をみじん切りにする(ピーマンとかも合う)→鍋で炒める→ひき肉(豚だと100g98円くらい、鶏ならもっと安い)を投入、パラパラになるまで炒める→水を入れて煮る、ここから先は普通のカレーの作り方と同じ

ひき肉カレーは野菜をみじん切りにするので煮込み時間が短くて済むし、そもそもひき肉を使うのでお肉代が安く済みます。普通のカレーを作る時にひき肉を肉団子にして入れる、というのもよい手です。
その他、鍋一個で作れる食べ物としては煮込みうどんがあります。

・煮込みうどんの作り方(生のうどん玉3食100円=1食33円)
鍋に湯をわかし扇形に切った大根・にんじん、肉(鶏肉でも豚肉でも)を入れ、煮えたらめんつゆ(或いは醤油と粉末だし、みりん)を入れてうどん玉を投入、袋に書いてある煮込み時間を参考に煮る。ほうれん草や小松菜などの菜っ葉も合います。ちなみにこの手順でうどんを餅に変えるとお雑煮になります。

料理初心者はとにかく面倒くさがりだと思うので、鍋一個でできて一皿で完結する料理がまずはオススメです。

料理に慣れてきたらパスタを作るのがオススメです。なんでかというと、これもやっぱり一皿で食べられるからです。一人暮らしだと、いちいちご飯炊いておかず作って食べるのが面倒なんですよね。わたしは週に4日はパスタを食べていました。パスタは茹でれば市販のパスタソースをかけるだけでも食べられますが、市販のパスタソースは安いレトルトのものでも一食100円くらいかかるので、自分で味付けまでしたほうが安上がりです。
ちなみに一口しかないコンロでパスタ料理をするのであれば、鍋で茹でるよりもレンジで茹でる道具を使ったほうがいいと思います。

レンジでパスタ 1.2L PS-G62

レンジでパスタ 1.2L PS-G62

パスタの味付けはいろいろありますが、ローコストを目指すのであればオイル系が一番安上がりかもしれません。

・キャベツとベーコンのペペロンチーノの作り方
キャベツの葉2〜3枚を一口大に、にんにくをみじん切りに、唐辛子を輪切りに切り、弱火にかけたフライパンにオリーブオイルを入れ、熱くならないうちににんにくと唐辛子を投入、木べらで炒める→香りが出てきたらキャベツを投入して弱火のままじっくり炒める、一緒に短冊型に切ったベーコンも炒める→塩を振って味付けする。塩だけで野菜と麺に味付けすることになるので、どれくらい入れるかは味見をしながら判断→茹で上がったパスタとパスタの茹で汁(お玉に一杯くらい)を投入、ちょっと炒めて出来上がり。
・ベーコンをツナに変えてもおいしい。味付けの際レモン汁を入れてもおいしい。

普通のペペロンチーノは具がないので満足感が薄いのですが、野菜やベーコンを入れると一皿でもそれなりに満足できます。キャベツ以外に、ほうれん草(あらかじめ茹でておいたもの)、ブロッコリー(半株くらいを10分くらい茹で、フライパンで炒めるときに木べらでつぶしながら炒める。鍋でパスタを茹でるなら、ブロッコリーを先に茹で始め、時間差で同じ鍋でパスタを茹で始めるのが合理的)、しめじ(炒めるときマーガリンを入れるとおいしい、味付けは塩だけじゃなくて醤油を入れて和風にしてもよい)、などでも同様の手順でオイル系のパスタができます。
トマトソースも簡単に作れるので作ってみたらいいと思います。

・トマトソースの作り方 (トマト缶1個90円〜、一人分なら2〜3食分)
鍋かフライパンにオリーブオイルを入れ、みじん切りにしたにんにくを入れて弱火で炒め、香りが出てきたらみじん切りにした玉ねぎ(1/2玉くらい)を投入、透き通るくらいに炒めたらトマト缶を入れて塩胡椒で味付け、蓋をしてしばらく煮こむ。コンソメを入れてもいい。上級者はハーブを入れる。個人的にはクレイジーソルトローリエオレガノを入れるのが好き。

・アラビアータの作り方
みじん切りにしたにんにく、輪切りにした唐辛子をオリーブオイルで炒め、ベーコンを投入、カリカリになるまで炒め、作っておいたトマトソースを入れ、茹で上がったパスタに絡めてちょっと炒めて出来上がり。

辛いものが苦手だったら、上記のアラビアータの手順から唐辛子を抜いて作れば普通のトマトソースのパスタになります。これもほうれん草とかしめじとかをベーコンのあとに入れてもおいしいです。
スープパスタにしたい、と思ったらトマトソースを入れるときに水とかパスタの茹で汁を入れればスープパスタになります。コンソメとか塩で味を調整してください。

一人ご飯で簡単なものといえば、鍋があります。一人暮らしをしたことがない人は「ええ〜一人で鍋とか寂しくなァい?」とびっくりするのですが、鍋は本当に簡単なのでオススメです。一人用の小さい土鍋とかを買うとそれっぽい感じになるのですが、普通の片手鍋で作ってもいいと思います。水の入った鍋に白菜と豚バラを入れて火にかけて煮立ったらポン酢をかけてご飯と一緒に食べる、とかそんな感じです。

炊いたご飯が残っていたら、炒飯をつくるのもよいです。炒飯の作り方は平民新聞さんの紹介しているやつがオススメです。炒飯に使う肉は、やっぱりベーコンとかソーセージとかハムとかで大丈夫です。平民さんのように塩豚を作っておくのもとても便利ですが、貧困女子が塊の豚肉を買うだけの勇気があるかはわからないので各自の判断にお任せします。
「やきめし」は事前に味付けを全部済ますと失敗しない−平民新聞

レシピはかなり適当に書いたので、詳細な分量などはちゃんとしたレシピをあたってもらったほうがよいですが、とりあえずこういうものであれば1食100円程度で作れる、ということがわかっていただけたでしょうか。食費を抑えるポイントは、「安くて汎用性の高い食材を利用する」ということです。使い勝手のよい食材なら、余らせてダメにしてしまうことも少なくて効率良く消費できます。同じような安い食材を毎日手を変え品を変え調理して食べ続ける、という感じですが、実際このようなメニューで六年くらい一人暮らしをしていたけど健康でしたし、肉の量とか明らかに少ないですけど痩せすぎたり栄養失調になることもありませんでした。
それまでコンビニご飯等を食べていた人でも、夕食だけでも自炊して食費を100円程度に抑えることができれば、たぶん300円くらいは浮くので、月に一万円近く食費が安くなり、一万円あればCDが三枚、ハードカバーの本が六冊買えるので、健康的で文化的な最低限度の生活を送ることができるようになります。根本的に収入を増やすのは転職のあてでもない限りなかなか難しいですし、生活の中で自己努力により可処分所得を確実に増やす方法として最も手っ取り早いのが自炊することだと思います。もちろん、それでも自炊するくらいならコンビニ弁当食べてたほうがまし、という方は、是非とも自炊っ子の分まで経済を回して下さいね!

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