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昼休みにお店でご飯を食べていたら、近くのテーブルにいた女の子グループの一人が、「結婚を考えている恋人の親が宗教をやっていたのでどうしよう……」という悩み相談を始めました、OLランチタイムにそのようなヘヴィーな話題を持ち出すくらいなので本人はかなり悩んでいるのではないかな、と思ったのですが、その話題の宗教というのがうちの実家の信仰している宗教と同じだったので、それについては見ず知らずのわたしに相談してくれたほうが適切なアドバイスができるのに……と思いつつ、聞き耳を立てていたのですけど、彼女は「恋人自身は宗教については全く興味がなく、よくわからないし、信仰もしていないというのだけど、結婚となると、互いの家族も関わることだし、何か弊害が生じるのではないか、うちの親も、宗教をやる人とか全く理解できない、というような反応である」といった主旨のことを言っていました、こうした悩み相談というのは日本中いたるところで勃発していると思いますので、求められてもいないのにわたしがアドバイスをしたいと思います。
その宗教というのは日本の新興宗教最大手の一つの団体のことですが、わたしの家は一族郎党一人残らずと言っていいほどその宗教団体に加入しています。わたしの両親もまた生まれたときからその団体に加入しています。その団体が主に戦後に発展したことを考えると両親ともに生まれた時から加入していてその子どもとしてのわたし、の宗教サラブレッドぶりはかなり稀少だと思います。そうした環境で育ち、子どもの頃から日常的に宗教行為を行い、教義を学び、集会に参加し、そうした経緯を踏まえた上で、信仰をしない、ということを選択しました。先述の女の子の彼氏のように「興味ないしよく知らない」というのとは訳が違います。
それで一ついえるのは、自分の親とか家がやっている宗教について「興味ないしよく知らない」という人ほど、後々なにかのきっかけで熱心な信仰者になる可能性は高い、ということです。なんでかというと、実家の宗教について「肯定的でもないけど批判的でもない」という態度の人は、そもそも宗教に関わる諸事について、全く意識していない、という性質を持っており、その宗教について、あらゆる意味で実態を知らず、そうであるからこそ、何か人生で挫折困窮した場合に、身近な宗教に拠って立ち上がる、という可能性が高く、その経験からそのまま熱心な信仰者になる、ということは充分想定できると思います。
「人生で挫折困窮した場合に、宗教に拠って立ち上がる」のは別に悪いことではありません、むしろ立ち上がれないよりはそのほうがずっといいに決まっています。そのまま熱心な信仰者になるのも勿論よいと思います。問題は、配偶者が「宗教とか興味ないと言っていたから結婚したのに話が違うじゃん」となってしまうことです。
結論から言うと、自分の結婚相手に対して、「宗教とかやってるとヤダ」と思うタイプの人は、「家はなんか宗教やってるけど自分は関係ないし」という相手と結婚するのはたぶんリスクが高い、ということです。実際わたしの身内は離婚経験者がものすごく多い。それぞれの夫婦が、なんで離婚したのかはわかりませんが、宗教的な価値観の相違というのも一因にあったのではないかな、と思います。逆に言えばうちの両親が離婚せず円満に暮らしているのも、宗教的価値観が予め一致している、というところがあるのかも、と思います。ちなみにうちの弟とかは、以前は全く宗教に興味を示さなかったのに、結婚して子どもができて、生活上の困難に見舞われてから、熱心に宗教活動をするようになり、ほどなくして離婚しました。
繰り返しますが、なにか行き詰まりを感じたときに、宗教の力を借りて事態を打開する、というのは全く悪いことだとは思いません。あくまでも、「自分は無宗教だから相手にも無宗教であってほしい」と考えるタイプの人は、はじめから宗教が身近にある人とは結婚しないほうがいいんじゃねえの、という話です。単純にいえば、「自分の無宗教を相手にも強要する」というのは「自分の信仰を相手にも強要する」ということと全く同じことなので、いずれにせよ、そうしたことは、やめたほうが生産的じゃねえの、と思いますけど。

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